映画評「THE SEA LION」

 製作国アメリ
 ホバート・ボスワース・プロダクションズ製作 アソシエイテッド・プロデューサーズ・インク配給
 監督ローランド・V・リー 製作・出演ホバート・ボスワース 出演ベッシー・ラヴ

 「海のライオン」と恐れられるネルソン船長。ネルソンには、妻に逃げられた苦い過去があった。航海中に、地図にない島に辿り着いたネルソンは、そこで十数年前に船が難破して生き延びた男と娘を見つける。

 主役のホバート・ボスワースは、自身のプロダクションを持ち、映画製作を行った人物だ。比較的製作費が安く済んだサイレント時代ならではの活躍をしていたと言える。この作品は、ボスワースのプロダクションによる最後の作品である。

 ネルソンと偶然見つけた娘が、親子であったというありきたりなストーリー。ふとしたことからネルソンの船に乗り込む父親から絶縁された青年は、ストーリーには活かされていない。正直言って、これといった魅力に欠ける作品だ。とはいえ、60分強の中編であることもあり、最後まで飽きずに見ることができるのは、淀みないストーリー展開と、リアリティのある船上の撮影のおかげだろう。