映画評「ADVENTURES OF TARZAN」

 製作国アメリ
 グレート・ウェスタン・プロデューシング・カンパニー、ワイス・ブラザース・アートクラス・ピクチャーズ製作
 ヌマ・ピクチャーズ・コーポレーション製作・配給
 監督ロバート・F・ヒル、スコット・シドニー 原作エドガー・ライス・バロウズ 出演エルモ・リンカーン

 アフリカの密林で活躍する有名なターザンの物語。ターザン役で人気を得たエルモ・リンカーン主演の連続映画版だ。ターザンの出生の秘密からジェーンとの出会い、ヨーロッパへ行くが再びアフリカに戻るまでは、1918年に長編映画TARZAN OF THE APES」としてリンカーン主演で作られている。自己紹介が済んだターザンは、この作品で思い存分活躍を見せてくれている。

 ジェーンとアフリカの黄金を狙う悪漢とターザンの攻防、ターザンとジェーンに訪れる危機また危機。映画は当時多く作られていた連続活劇の常道とも言える内容になっている。危機が訪れて一旦終わるというパターン、たくさん登場するライオン(撮影中、リンカーンは本当にライオンと戦う羽目になったという)など、冒険活劇のセオリーを織り交ぜている。

 通常の連続活劇と異なるのは、ターザンというキャラクターだろう。だが、複雑な出自や、ターザンの孤独などはここでは描かれていない。この作品だけを見れば、ただの半裸の男である。その意味で、連続活劇の常道を踏んでいるこの作品は、常道以上の魅力はあまり感じられなかったというのが正直なところだ。

 エルモ・リンカーンについても触れておきたい。後にターザン俳優として人気を得るジョニー・ワイズミュラーとは異なり、リンカーンはハンサムではない。力持ちで野性味溢れる印象の方が強い。ちなみに、サイレント映画なので、「アーアアー」という雄たけびも無い。