映画評「TOO WISE WIVES」

 製作国アメリカ ロイス・ウェーバー・プロダクションズ製作 パラマウント・ピクチャーズ配給
 監督・製作・脚本ロイス・ウェーバー 脚本マリオン・オース 撮影ウィリアム・C・フォスター
 出演ルイス・カルハーン、クレア・ウィンザー、フィリップス・スモーリー、モナ・リサ

 妻の献身的な愛を疎ましく思う夫という夫婦。浮気性の妻と、それに気づかず愛している夫という夫婦。前者の夫と後者の妻はかつて愛し合う仲だった。

 サイレント期を中心に、数少ないハリウッドの女性監督として活躍したロイス・ウェーバーの作品である。同時期にセシル・B・デミルが監督した、「何故妻を代へる」(1920)などの夫婦間の問題を扱った作品と同系列の作品といえるが、デミルが女優たちのセックス・アピールを売りにしたのに対し、この作品は真面目だ。

 夫の愛を思うように得られずにもがいたり、嫉妬の塊になったりと、描いていることはデミル作品と似ているが、この作品は地味だがリアリスティックに描いている。

 ストーリー展開がより派手で見た目の華やかさを誇るデミル作品が男性的な視点であるのに対し、この作品な女性的な細やかさを表現していると言えるだろう。字幕に頼る部分も多く、映像的ではないかもしれない。だが、細やかな部分を描こうとしたウェーバーの試みは評価されても良いのではないあろうか。