映画評「キートンの化物屋敷」
原題「THE HAUNTED HOUSE」 製作国アメリカ
ジョセフ・M・スケンク・プロダクションズ製作 メトロ・ピクチャーズ・コーポレーション配給
監督・脚本エドワード・F・クライン 監督・脚本・出演バスター・キートン 製作ジョセフ・M・スケンク
銀行で働くバスターは失敗ばかり。銀行強盗の共犯と疑われたバスターは、化物屋敷と噂される屋敷へと逃げ込む。
前半の銀行のシークエンスと、後半の化物屋敷のシークエンスに分かれている。前半はアイデアによるギャグが多く、後半はキートンのアクロバティックな動きによるギャグが多い。キートンの持ち味を存分に味わうことが出来る作品といえるだろう。
前半の銀行のシークエンスはアイデアに満ちている。接着剤がついた手から紙幣が離れなくなってしまうギャグは、接着剤を取るために熱湯をかけようとするが男が熱がるために、ハンマーで殴って気絶させるギャグへとつながる。さらに、自らの手についた接着剤を取ろうとするキートンがハンマーで自らを殴るというギャグへとつながっていく。
後半の化物屋敷のシークエンスでは、スイッチひとつで足場がなくなってしまい滑り落ちる仕掛けの階段をメインに、幽霊から逃げ惑うキートンの動きを堪能することが出来る。また、人間のパーツを組み立てると本物の人間となって動き出すというジョルジュ・メリエス流のトリック撮影(ストップモーションを使っている)まで見せてくれるが、これはちょっとやりすぎのようにも感じられた。
この映画では2つの振付けられたギャグが見られる。1つ目は、銀行のシーンで接着剤によって手についた紙幣を振り払おうとする4人の男性が、まったく同じ動きを同じタイミングでするギャグ。2つ目は、廊下を行き来する幽霊たちを見て、キートンが警官よろしく交通整理を始めるギャグ。この2つのギャグを見ると、キートンにミュージカル映画の振り付けをしてみて欲しかったと感じた。
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