映画評「俺がやる」

 原題「I DO」 製作国アメリ
 ローリン・フィルムス製作 パテ・エクスチェンジ配給
 製作・監督ハル・ローチ 出演ハロルド・ロイド ミルドレッド・デイヴィス

 ロイドとミルドレッドの夫婦が、親戚の2人の子供を預かる。いたずら盛りの少年と、泣いてばかりの赤ん坊に手を焼く二人。加えて、家の周りをうろついていた浮浪者が夜中にやって来て、2人は恐怖に陥る。

 この頃のロイドは多くの30分程度の短編に出演していたが、この作品もその1つ。元々は三巻もの(約40分程度)の作品だったらしいが、試写で最初の一巻がうけなかったために、ばっさりと切って二巻として公開されたのだという。

 1920年からアメリカでは禁酒法が制定されていたが、この作品ではロイド夫婦がベビー・カーに酒瓶を入れてカモフラージュし、酒をもらいに行くというギャグがあり、禁酒法がいかに機能していなかったかを物語る。

 ミルクを哺乳瓶に入れようとしてうまくいかないといった、子供たちの世話に悪戦苦闘するギャグは取り立てて面白みはないように思える。後半は、浮浪者が襲いに来たと思い込んでドタバタが繰り広げられる。ここでは、猫が靴下に入り込んで動くのを見て化け物と勘違いするといった、他のロイド作品でも見られるギャグが面白い。だが、ロイドの短編の中でも、それほど優れた短編ではないというのが正直なところだ。