映画評「客に混じって」

 原題「AMONG THOSE PRESENT」 製作国アメリ
 ローリン・フィルムス製作 アソシエイテッド・エキジビターズ配給
 監督フレッド・C・ニューメイヤー 製作・脚本ハル・ローチ 出演ハロルド・ロイド ミルドレッド・デイヴィス

 ホテルのボーイとして働くロイドは上流階級に憧れている。それを見た男が、ロイドに上流階級の男のフリをさせて、多くの上流階級の人々が集まるキツネ狩りに連れて行く。ロイドはそこで、金持ちの娘であるミルドレッドに恋をする。

 「豪勇ロイド」(1922)では、回想の形でロイドは荒唐無稽な活躍を見せる。ロイドの短編には「豪勇ロイド」と同じパターンが使われている作品があり、この作品もその1つだ。酒に酔ったロイドが、偽りの武勇伝を語るシーンがそれである。この武勇伝のギャグ自体はそれほど面白いものとは思わなかったが、普通の男で人気を得たロイドが超人的な活躍を映画の中で描くための方法として、このような形が使われている点は面白い。

 で、現実のロイドはキツネ狩りの途中でズボンをなくしてしまうという情けない姿をさらす。チャールズ・チャップリンも「のらくら」(1921)で同じようなギャグを見せてくれるが、正直言って面白さではチャップリンの方が数段上だ。

 コメディとして見たとき、それほど面白い作品とは思えなかったが、ロイドの長編映画に見られるストーリー展開の基礎を見て取ることができる。