映画評「THE BELL HOP」

 製作国アメリ
 ラリー・シーモン・プロダクションズ製作 ヴァイタグラフ・カンパニー・オブ・アメリカ製作・配給
 監督・製作・脚本・出演ラリー・シーモン 監督・脚本ノーマン・タウログ 出演オリヴァー・ハーディ

 大きなホテル。行き交う多くの人々を整理するために、ロビーには交通整理係がいるほどだ。このホテルを舞台に、シーモン演じるベルボーイを中心に、重要な書類を奪おうとするスパイ団たちとのドタバタが繰り広げられる。

 シーモンのコメディの魅力の1つに「大げさ」がある。この作品でも、海で泳ぐ夢を見ている巨漢の男が、寝ぼけてベッドから地面に飛び込むと、床が抜けてロビーに墜落していくといった大げさなギャグが見られる。一方で、その他のギャグは、それほど工夫があるようには感じられなかった。

 シーモン映画は大がかりなスタントでも見せてくれる。この作品でも、建物の屋上にシーモンがおり、悪役が建物にダイナマイトを仕掛ける。飛行機が飛んできて、シーモンを引っ張り上げる。その瞬間に大爆発が起こり、建物は木端微塵に粉砕される。このシーンは、シーモン自身が演じているのではないと思われるが、その迫力に圧倒された。

 個人的には、「THE GROCERY CLERK」(1919)の方が好きだが、見どころのある作品だ。ちなみに、当時29歳のオリヴァー・ハーディが、巨漢の中年悪役で出演している。