フランス印象派の雄マルセル・レルビエの「ドン・フアンとファウスト」

 フランス印象派の1人と言われるマルセル・レルビエは、「ドン・フアンとファウスト」(1922)を監督している。ドン・ファンの若い頃から、最後には悔いて修道僧になるまでを描いている。

 レンズの前に板状の氷を置いて、奇妙にデフォルメされた映像を得るといった工夫がされているという。だが、製作会社のボスであるレオン・ゴーモンとの間で意見が合わず、スペイン・ロケは途中で打ち切りとなってしまい、ストーリーは脈絡がなくなったという。それでも、一連の美しい映像を持ったこの作品を見て、ジャン・ルノワールは映画の世界に入る決心をしたと言われている。またレルビエは、劇作家モリエールの生涯を映画化しようとしたが、製作費の問題でゴーモン社の許可が出なかったという。