ドイツ 「吸血鬼ノスフェラトゥ」の著作権騒動

 「吸血鬼ノスフェラトゥ」(1922)の映画化を行ったのは、プラーナ・フィルムという会社である。この会社はアルビン・グラウという画家・舞台装置家・建築家の肩書きを持つ人物が中心となって作られた映画製作会社で、設立からブラム・ストーカーの「ドラキュラ」を映画化することを目的としていた。しかし、小説の映画化権を取得していないまま映画化したため、後にストーカーの妻から訴えられ、1925年7月に裁判所から配給中止とフィルムの破棄が命じられている。

 著作権の問題からフィルムの破棄を命じられた「吸血鬼ノスフェラトゥ」だが、幸いなことに命令に従わなかった人たちがいたため、今でも私たちは見ることが出来る。また、1930年には無名の会社によって、追加撮影をおこなったパートが加えられた、「深夜12時」(1930)というタイトルの作品も公開されている。


【関連記事】
映画評「吸血鬼ノスフェラトゥ」


吸血鬼ノスフェラトゥ 新訳版 [DVD]

吸血鬼ノスフェラトゥ 新訳版 [DVD]