カール・ドライヤーのドイツとデンマークでの映画製作

 デンマーク映画の衰退のために、国外で映画製作を行っていたカール・ドライヤーは、ドイツで「不運な人々」(1922)を監督している。1905年の革命当時の南ロシアにおけるユダヤ人虐殺を描いた小説の映画化で、宗教的不寛容が主題だった。完璧なまでに南ロシアの環境を再現してみせたという。

 ドライヤーはさらに、母国デンマークコペンハーゲンの豪華な映画館パラス劇場の持ち主ソフス・マッセンの依頼で、「むかしむかし」(1922)を監督した。デンマークの詩人・劇作家ホルガー・ドラックマンの劇の映画化で、デンマーク的なおとぎ話になっているという。