ドイツ ルビッチとスペクタクル映画、歴史映画

 当時スペクタクル映画を多く監督していたエルンスト・ルビッチは、「ファラオの恋」(1922)を送り出している。古代エジプトを舞台に、美しい女奴隷を巡ってエジプトとエチオピアが血を流し合うというストーリーを歴史絵巻風にまとめた作品である。

 この頃のヒット・メイカーとしてのルビッチについて、岡田晋は「ドイツ映画史」の中で次のように書いている。

 「彼(ルビッチ)はあくまでも演出家であり、見世物としてしか歴史をながめていないことがわかる」

 ドイツで作られたスペクタクル映画、歴史映画としては他にも、ディミトリー・ブコウェツキー監督による「オセロ」「ピーター大帝」(1922)や、ルネッサンスの権謀術数による政治をテーマにした、リヒャルト・オズワルド監督の「ルクレチア・ボルジア」(1922)、ペーター・ポール・フェルナー監督の「エセックス伯爵」(1922)などがある。

 「オセロ」は、シェイクスピアの4大悲劇の1つを、ドイツ映画界の名優ヴェルナー・クラウス製作・主演で映画化した作品である。当時のドイツのトップ俳優エミール・ヤニングスがオセロ役を演じた。


映画評「オセロ」