イタリア 不振の中の秀作「過去よりの呼び声」

 1922年に作られたイタリア映画としては、ジェンナーロ・リゲッリ監督の「過去よりの呼び声」(1922)がある。イタリアの売れっ子劇作家ファウスト・マリア・マルティニの原作を映画化した作品だった。死んだわが子の代わりに育てた若者を女として愛してしまった母が、彼の将来を思って一人旅に出て行くという物語である。劇的な盛り上げと叙情的な美しさが融合した作品であるという。

 この頃活躍した女優に、マリア・ヤコビーニがいる。ヤコビーニは、1922年までに、チェリオ、ティベール、イタラなど各社と契約して人気スターとして活躍した。だが、そんなヤコビーニも、この後主にドイツで活躍していくことになる。