映画評「狼の心」

 製作国アメリカ 原題「THE TRAP」
 ユニヴァーサル・フィルム・マニュファクチュアリング・カンパニー製作・配給
 監督ロバート・ソーンビー 原案・出演ロン・チェイニー 原案ルシアン・ハバード、アーヴィング・サルバーグ
 脚本ジョージ・C・ハル 撮影ヴァージル・ミラー 出演アラン・へイル、ダマール・ゴドウスキー

 1920年代を代表する演技派として活躍したロン・チェイニー主演作。

 優しい心の持ち主だったガスパードだったが、所有する鉱山と愛するサリーをベンソンに奪われてしまう。7年後、復讐の機会を見つけたガスパードはベンソンを投獄させ、サリーとベンソンの幼い男の子を虐待しようとするが、男の子の純粋さにほだされてしまう。

 明るく善人のガスパードから、復讐に走るガスパードまで、ロン・チェイニーは演技派の名に恥じぬ幅の広い演技を見せてくれる。クライマックスでは、狼との戦いに傷ついた姿を惜しげもなく披露し、見る者にビジュアル的なショックを与えることにも成功している。

 40分程度の中編とはいえ、決してハンサムではないチェイニーが主役を張っていたことを忘れてはならない。美男美女だけでハリウッドが成り立っていたわけではないことを、ロン・チェイニーは証明している。