映画評「オリバー・トウィスト」

 製作国アメリカ 原題「OLIVER TWIST」
 ジャッキー・クーガン・プロダクションズ製作 ファースト・ナショナル・ピクチャーズ配給
 監督・脚本フランク・ロイド 製作ソル・レッサー 原作チャールズ・ディケンズ 脚本ハリー・ウィール
 撮影グレン・マックウィリアムズ、ロバート・マーティン 出演ジャッキー・クーガン、ロン・チェイニー

 チャールズ・ディケンズによる有名な原作の映画化。70分強という時間の中に、原作がダイジェスト的に語られる。ダイジェストとはいえ大筋が省略されることなく映像化されていることや、登場人物の性格が原作に近いという特徴がある。

 主役を演じるのは、チャールズ・チャップリンの「キッド」(1921)で世界的子役スターとなったジャッキー・クーガンだ。可愛らしさはそのままだが、チャップリンによって見事に演出された「キッド」と比べると、演技による可愛らしさは落ちる。とはいえ、クーガンの魅力を活かす点で、「オリバー・ツイスト」を選んだことは作り手側の目の付けどころの確かさが分かる。クーガンは、髪が乱れている方が魅力的なのだ。浮浪児や犯罪者たちと一緒のシーンが多い「オリバー・ツイスト」では、クーガンの乱れ髪の魅力が自然に表現されている。

 19世紀のロンドンを再現したセットや、脇を固めるロン・チェイニーやライオネル・バリモアといった芸達者たちが、この作品の格を上げている。短い時間で原作のダイジェストを展開していることもあり、ドラマには欠ける作品なのは仕方ないのだろう。


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