映画評「鍛冶屋」
製作国アメリカ 原題「THE BLACKSMITH」
ファースト・ナショナル・ピクチャーズ製作 アソシエイテッド・ファースト・ナショナル・ピクチャーズ配給
監督・脚本バスター・キートン、マルコム・セント=クレア 出演ヴァージニア・フォックス、ジョー・ロバーツ
鍛冶屋(兼車の修理屋)で働くキートンは、やって来る客や鍛冶屋の主人と、次々にトラブルを起こす。
コメディのネタとするものがたくさんある鍛冶屋と車の修理屋を舞台に、ギャグの洪水でとにかく勢いで持っていく作品。
冒頭から、何故か入り口の上に据え付けられている強力なマグネットによって、ハンマーや保安官のバッジやピストルが吸い上げられるギャグから始まり、キートンが壊れた懐中時計を直そうとして蹄鉄を直すように熱して叩くギャグ(しかも直る!)、見事な白馬に似合う蹄鉄を探すためにキートンが白馬を令嬢のように扱うギャグ(馬の動きがキートンと合っていて素晴らしい)、馬が走る衝撃で背中が痛いという女性にスプリングつきの鞍を売りつけるギャグ。こういったギャグが洪水のように押し寄せる。
キートンと人物の間ではなく、キートンと馬や自動車との間でドタバタが繰り広げられるのが特徴的といえるだろう。
ラストは、キートンと愛する女性が乗った汽車が鉄橋から落ちたかのようにミニチュアの映像を見せる悲劇的な結末かと思わせるが、キートンの子供のおもちゃの汽車が落ちた映像だったという落ちできちんと締まっている。
ちなみに、この作品でめちゃくちゃに壊されるロールス・ロイスは、キートンが結婚祝いに相手側の親類からもらったものだったという。この頃、キートンと妻の間の関係は冷え切っていたという。
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バスター・キートンの短編映画製作
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