映画評「電気屋敷」

 製作国アメリカ 原題「THE ELECTRIC HOUSE」
 ファースト・ナショナル・ピクチャーズ製作 アソシエイテッド・ファースト・ナショナル・ピクチャーズ配給
 監督・脚本・出演バスター・キートン 監督・脚本エドワード・F・クライン 出演ヴァージニア・フォックス

 電気技師と間違われたキートンだが、金持ちの屋敷を電気仕掛けにすることに成功する。しかし、本当の電気技師がキートンに嫉妬して、故障させてしまうことから、ドタバタが繰り広げられる。

 キートンの映画は、とかくアクロバティックな動きが強調されがちだが、「電気屋敷」のような凝ったセットも特徴の1つである。単独主演デビュー作の「文化生活一週間」(1920)から、キートンは優れたセットであればあるほど、自らのアクロバティックな動きをセットに合わせて見せてくれる。

 「電気屋敷」で最も多くの時間を割かれているセットはエスカレーターのセットだ。チャールズ・チャップリンエスカレーターを使った短編を製作しており、その使われ方も一緒だが、「電気屋敷」ではエスカレーターが昇りきったところに窓があり、勢い余って外のプールに飛び出してしまうというギャグが追加されている。

 そのほかにも、料理を運んでくるミニチュアの汽車や、全自動食器洗い機、電動ビリヤード台、電動本棚、電動バスタブ、電動ベッド、電動プールと数々のアイデアが登場し、それを見ていくだけでも飽きない作品となっている。

 一方で、キートンのアクロバティックな動きは抑え気味にも思えるが、これだけのアイデアを見せてくれたらそんなに文句は言えない。



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