映画評「THE SHOW」

 製作国アメリ
 ラリー・シーモン・プロダクションズ製作 ヴァイタグラフ・カンパニー・オブ・アメリカ製作・配給
 監督・製作・脚本・出演ラリー・シーモン 監督・脚本ノーマン・タウログ 出演オリヴァー・ハーディ

 ヴォードヴィルの小道具係のラリーは、ショーを台無しにしてしまう。

 後半の6分程度は、汽車・自動車・バイクを使った大掛かりなチェイス・シーンになっている。そこまでの舞台のシーンは、目新しいギャグはない。

 チェイス・シーンは見事だ。汽車が移動中の家や荷物を破壊したり、走行する汽車の前を車やバイクがスレスレで通り過ぎたりといった、大がかりさと絶妙なタイミングが素晴らしい。後に、「アクション」というジャンルが生まれるが、当時はそういったジャンルの映画はなく、すべて「コメディ」だった。同時期のキートンやロイドの作品と比べても、計算されたチェイス・シーンは見どころに溢れている。

 シーモンの作品には、現在で言うところの「アクション」が必ず含まれている。それがシーモン映画の魅力なのだが、逆に言うとシーモンでなくても成立する面白さなのだ。当時は人気を呼んだシーモンが今では忘れられている理由。それは、シーモン作品の魅力が後の「アクション」映画に塗り替えられてしまったこと、そしてシーモンではなくても成立する映画を製作したからだろう。