映画評「MUD AND SAND」

 製作国アメリ
 クオリティ・フィルム・プロダクションズ製作 メトロ・ピクチャーズ・コーポレーション配給
 監督ギルバート・プラット 製作ギルバート・M・アンダーソン 出演スタン・ローレル

 当時人気絶頂だったルドルフ・ヴァレンティノが主演した「血と砂」(1922)のパロディである。現在でもパロディ映画は作られているが、この作品は「血と砂」公開から数カ月後に公開されたという早業である。オリヴァー・ハーディと組む前のスタン・ローレルが主演している。ローレルは当時、多くのパロディ映画シリーズに出演していたという。

 ストーリーの展開は「血と砂」をなぞっており、それほどの工夫はないが、逆に安心して見ていられる部分もある。「血と砂」を見ていない人には、華奢で色男とは程遠いローレルが、絶世の色男のヴァレンティノと同じ役を演じている面白さは伝わらないだろう。

 面白かったギャグを1つ紹介する。ヴァレンティノよろしく、大量のポマードをつけて、真中できっちりと分けたローレル。雷鳴が聞こえたので、窓を開けると、頭に雷が落ちる。驚いたローレルが鏡を見ると、真っ直ぐだった分け目が、稲妻型になってしまっているのだった!