映画評「不運な人々」

製作国ドイツ 原題「DIE GEZEICHNETEN」 英語題「LOVE ONE ANOTHER」 製作Primus-Film GmbH

監督・脚本カール・ドライヤー 原作オーエ・マーゼルング 撮影フリードリヒ・ヴァインマン 美術イェンス・G・リン 衣装ヴィリー・エルンスト、レオポルド・ヴェルヒ

出演アデーレ・ロイター・アイヒベルグ、ウラジミール・ガイダロフ、ポリーナ・ピエコフスカ、シルヴィア・トルフ

 1900年代の帝政ロシアユダヤ人たちはロシア人の中で蔑視を受けながら生きていた。革命熱が高まる中、人民の意識を逸らすためにユダヤ人虐殺の陰謀が企まれ、1人の男が僧侶に化けて街にやってくる。

 実在の事件をモデルにした原作を元に、多くの亡命ロシア人やユダヤ人を起用して作られた作品。ユダヤ人街のセットなどで追求されたリアリズムは、同時期の映画界においても先駆的な試みと言われている。

 ストーリーは複雑で整理されているとは言えないものの、革命という特殊な状況と、ユダヤ人差別という過去から連綿と続いている状況を描き出している点は見事だ。