スキャンダルとハリウッド ウォーレス・リードの麻薬中毒死

 不動産業者によってハリウッドランドの大看板が立てられたこの年、ハリウッドはスキャンダルに揺れていた。

 1921年のロスコー・アーバックルの殺人容疑(パラマウントのアドルフ・ズーカーはこの年、パリで記者会見を開き、今後アーバックルの出演作は作らないことを表明)、1922年のデズモンド・テイラー監督殺害事件などのスキャンダルにより世間の非難を浴びていたハリウッドでは、1923年にはウォーレス・リードのモルヒネ中毒死というスキャンダルが起こっている。

 リードは高潔なイメージの役者であり、モルヒネ中毒だったことは死後に明らかになった。リードは、事故による背中の痛みを和らげるためにモルヒネを常用していたのだった。映画会社は非難を避けるために、リードが麻薬中毒と個人的に勇気を持って戦ったことを強調した。さらに、「人類の破滅」(1923)という麻薬の犠牲になっていく若き弁護士の映画を製作し、リードの未亡人も出演するなどして、スキャンダルからの防衛を図った。