「ロジタ」 メアリー・ピックフォードの脱皮の試み

 「ロジタ」(1923)は、メアリー・ピックフォードエスメラルダ、カルメン、陽気な未亡人などを演じた超大作である。監督は、ドイツから招いたエルンスト・ルビッチが担当した。当初は歴史物の「ドロシー・ヴァーノン」を企画し、以後現代的な若い女性を演じるきっかけにしようとしたピックフォードだったが、ルビッチが脚本に難色を示して、「ロジタ」に変更になった。ルビッチは、「ファウスト」の映画化を提案したが、ピックフォードの母親の反対で実現しなかったとも言われる。

 「ロジタ」は、19世紀のスペインを舞台に、歌姫ロジタにほれ込んだ王が自分の意に従わせようとするが、ロジタは自分の愛を貫くというメロドラマである。

 ルビッチは撮影に際して、これまでの作品のように明るい照明をピックフォードに当てなかったためにピックフォードが抗議をした。その後改善されたが、2人の関係はうまくいかなくなり、作品も失敗に終わったとも言われている。