チャールズ・レイ あるメアリー・ピックフォード的男優の話

 一人前になる体験に直面してしり込みする若者を演じ続けることでスターの座を保った役者がいる。彼の名前をチャールズ・レイという。彼は「哨兵」(1915)の頃から同じような役柄を演じ続け、1923年にも同じような役柄の「我が恋せし乙女」(1923)に出演し、秀作と評されている。

 レイのファンも、メアリー・ピックフォードのファンと同じように、はまり役以外の姿を好まなかったのだ。だが、レイもまたピックフォードと同じように、1つの役柄ばかりを演じることでは満足できなくなっていた。そこで役柄を変えた「怒涛彼方へ」(1923)という作品を製作・出演するが、ファンには受け入れられなかった。そして、数年後には、レイはスターの座を追われていた。

 現在ではチャールズ・レイは、ピックフォード以上に忘れられた存在だが、当時のアメリカ映画やファンの好みについての一例を示してくれる。