「偽牧師」 チャールズ・チャップリン最後の雇われ仕事

 チャールズ・チャップリンは、ファースト・ナショナル社との契約における最後の作品である「偽牧師」(1923)を監督・主演している。脱獄犯が逃走中に牧師の服を盗み、ある村の新任牧師と勘違いされるというストーリーの作品だ。

 「偽牧師」は、聖職者たちを愚弄したとして、一部で上映禁止になっている。チャップリンは、「偽牧師」の製作によってファースト・ナショナルとの契約を完了し、自らも設立に参加したユナイテッド・アーティスツ配給の作品を撮影できることになる。これは、さらに大きな自由を手に入れたということを意味していた。

 ちなみに、チャーリーがアメリカにもメキシコにも行けないというラストに、弁士の徳川夢声は「彼はとうとうアメシコ(アメリカとメキシコからの造語)に行ったのであります」と語ったという逸話が残っていて面白い。


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