キートン、ロイド 中産階級喜劇
かつてのキーストン喜劇が性を無秩序に描き、チャールズ・チャップリン甘い素直な恋の喜劇を描く中、バスター・キートンやハロルド・ロイドが出演する中産階級喜劇は、若い男女によって結婚をゴールにして描かれた。
そんなキートンやロイドの中産階級喜劇について、ロバート・スクラーは「アメリカ映画の文化史」の中で次のように述べている。
「しかも、そのゴールは、おたがいに相手にたいして親密な関心を注ぐことによって到達するのではなく、いったん別れた男女が、世間の荒波にもまれ、女によって奮起させられた男が眼前の障害を乗り越えて手に入れるべきものだった」(P238)
「ロイドやキートンの映画では、伝統的な社会秩序は決して破られなかったが(結局それが強みのひとつとなるのだが)、中産階級の枠の中にありながら中産階級自体をパロディ化するほど過激なスタイルをつくりあげたため、チャップリンやセネットにひけをとらぬほど伝統文化にたいする攻撃力は強いものとなった」(P238)
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