映画評「SALOME」

製作国アメリ

ナジモヴァ・プロダクションズ製作
アライド・プロデューサーズ・アンド・ディストリビューターズ・コーポレーション配給

監督チャールズ・ブライアント 製作・出演アラ・ナジモヴァ 原作オスカー・ワイルド 脚本・美術・衣装ナターシャ・ランボヴァ

出演ミッチェル・ルイス、ローズ・ディオン、ナイジェル・ブルリエ


 オスカー・ワイルド原作の「サロメ」の映画化作品。サイレント期の人気女優だったナジモヴァが自身のプロダクションで製作した作品だったが、興行的には失敗に終わり、ナジモヴァのプロダクション最後の作品となってしまった。

 ナジモヴァが主演した作品では、「椿姫」(1921)を見たことがある。この作品と「椿姫」には大きな共通点がある。それは、エキセントリックとも言える、シュールな衣装とセットだ。両方とも担当しているのは、ルドルフ・ヴァレンティノの妻だったことでも知られるナターシャ・ランボヴァだ。かなり思い切った衣装とセットは、この作品と「椿姫」を、同時期に作られた他のサイレント映画の中でも光る存在としている。

 非常に舞台的に撮られている。人々の動きは大げさだ。サロメ以外の登場人物の姿も動きも、非常にデコレートされている。サロメの衣装は何度も変わり、サイレント映画なので音楽はないもののサロメが踊るシーンはミュージカルを見るかのようだ。

 この作品には野心がある。他にはない作品を作り出そうという意欲がある。そんな作品は多くない。この作品は興行的に失敗に終わり、ナジモヴァのプロダクションは解散する。だが、ナジモヴァとランボヴァの名前は、この作品と「椿姫」によって私の脳裏にしっかりと刻まれた。