映画評「THE SOILERS」

[製作国]アメリカ [製作]ハル・ローチ・ステゥディオズ [配給]パテ・エクスチェンジ

[監督]ラルフ・シーダー [製作]ギルバート・M・アンダーソン、ハル・ローチ [脚本]ハル・コンクリン

[出演]スタン・ローレル、エナ・グレゴリー、メイ・ローレル、ジェームズ・フィンレイソン、ビリー・エングル

 舞台はゴールド・ラッシュに沸くアラスカ。鉱山主のボブは、スマクナマラに権利を奪われる。

 スタン・ローレルがパロディ短編に主演していた頃の作品。レックス・ビーチ原作で、何度も映画化された「スポイラーズ」(ジョン・ウェイン主演作が最も有名)のパロディである。マッチョなヒーローとは似ても似つかないローレルが、2本の腕でジェームズ・フィンレイソン演じるスマクナマラを倒す。

 最も時間を割かれているのが、ローレルとフィンレイソンの格闘シーンだ。ここでは、それまでのスラップスティック・コメディの面白さに加えて、2人の格闘をみんなが無視をするという設定が加わっている。さらには、女性っぽい仕草のカウボーイが、2人が格闘している部屋にやってきて、柄シャツを見つけて喜ぶといったギャグも加わり、面白い。このカウボーイは、格闘に勝ってもみんなから無視されるローレルに、「私のヒーロー!」と声を掛けるというオチもつけてくれる。

 復讐を企てるローレルが家に爆弾を仕掛けようとして、片手でひょいと家を持ち上げてその下にダイナマイトを投げ入れるといった細かいギャグも面白く、短編コメディに主演していたローレルの作品の中でも上位に位置する作品だと思う。