映画評「LA VOIX DU ROSSIGNOL」
※ネタバレが含まれている場合があります
[製作国]フランス [英語題]VOICE OF THE NIGHTINGALE [製作]PATHE CONSORTIUM CINEMA
[監督・脚本・撮影・美術]ヴワジスワフ・スタレーヴィチ
ナイチンゲールを捕まえた少女だが、夫のナイチンゲールが妻のナイチンゲールを探している夢を見て、放してやる。
1912年に「THE CAMERAMAN'S REVENGE」を製作したことでも知られる、ストップモーション・アニメの始祖の1人スタレーヴィチによる作品。ロシア人だったスタレーヴィチは、ロシア革命後はフランスに逃れ、そこで製作した作品である。実写とストップモーション・アニメを組み合わせている。
非常にキュートな作品だ。夢を見て少女がナイチンゲールを放してやるという展開もそうだし、夢の中のナイチンゲールのツガイの物語もそうだ。現実離れした描写が可能なストップモーション・アニメの特性は随所に見られるものの、決して技術を押し出しておらず、それよりも愛らしい作品に仕上げることを最大の目的としているかのようだ。
視覚的に最も楽しかったのは、小人がバッタに乗って、白馬の騎士のように、女性を誘拐して巣にくくりつけたクモを退治に行くシーン。ここも何となく愛らしい。
私が見たバージョンは着色がされていた。決して技術的に高いとは思わなかったが、一編の夢物語を彩るには十分だった。