「結婚哲学」 アメリカへ渡ったルビッチ・タッチ

 エルンスト・ルビッチは、ドイツ時代の艶笑喜劇の世界を洗練させた「結婚哲学」(1924)をパラマウントで監督している。ルビッチはこの後、繊細な心理的表現とウィットに富んだ官能的表現によって独自の境地を開いていく。その手法は「ルビッチ・タッチ」と称えられ、その後のソフィストケートな風俗喜劇に影響を与えていく。

 ルビッチは他にもドイツ時代に組んでいたポーラ・ネグリ主演の「禁断の楽園」(1924)や「三人の女性」(1924)を監督している。

 「禁断の楽園」は、女王を革命分子から救った士官が女王から寵愛を受けるようになるが、女王に遊ばれていると知った士官は革命派に転向。宰相は士官を逮捕しようとするが・・・という内容の作品である。女王の奔放な恋愛を描いているため、日本では上映が不許可となったとなり、大幅にカットされた後に警視庁検閲係長が字幕を書き直して公開されたという。

 「三人の女性」は、借金に困った男が、金持ちの未亡人に言い寄るが未亡人の娘が好きになり、結婚する。だが、男は別の女とも関係し、未亡人の娘は離婚を望むが男は応じず・・・という内容の作品である。


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