「ロモラ」 グリフィス抜きのリリアン・ギッシュの活躍

 かつてコンビを組んでいたD・W・グリフィスが人気の面で堕ちぶれていくのとは対照的に、リリアン・ギッシュの人気は絶大だった。この年には、ヘンリー・キング監督の主演作「ロモラ」が公開されている。

 「ロモラ」は前作「ホワイト・シスター」(1923)に続いてロナルド・コールマンと共演した作品である。また、当時まだ新人だったウィリアム・パウエルも出演している。ヘンリー・キングが、撮影が終わると別の撮影に行ってしまったため、リリアンが最後の編集に立ち会ったという。

 この作品のロサンゼルスでの封切りにあたって、リリアンと妹のドロシーと母親が駅を降りると、配給を担当するMGMのルイス・B・メイヤーのほか、多くの人が待ち受けていたという。そして、その後のプレミアのお祭り騒ぎで5日にわたって睡眠も食事もままならなかったとリリアンが自伝で語っている。

 私生活の面では、リリアンの弁護士であり、金銭面の相談役でもあったチャールズ・デュエルが結婚を迫ってきた。だが、デュエルの目的はリリアンの収益の分け前をもらうことだったという。その後裁判になり、リリアンが勝訴している。


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