カール・ドライヤーの転機 「ミカエル」

 デンマーク出身の監督カール・ドライヤーは、ドイツで「ミカエル」(1924)を監督している。ウーファ社のエーリッヒ・ポマーの製作でドライヤーは制作上の自由を得て撮影された作品であり、ドライヤー自らが転機となったと語る作品である。作家ヘアマン・バングの自伝的小説の映画化で、原作は芸術の世界を描くと同時に、同性愛のテーマも打ち出してセンセーショナルを起こした作品だという。スティルレルがスウェーデンで1916年に「翼」のタイトルで映画化したことがあり、「ミカエル」は2回目の映画化にあたる。

 細部に至るまでリアリズムを徹底し、舞台装置を映画の時代(19世紀末)に合わせたという。評論家に絶賛された。また、この作品には、同じデンマーク出身で、「魔女」(1922)を作ったベンヤミン・クリステンセンが出演している。