その他のドイツ映画 1924年

 アメリカへと活躍の場所を移したエルンスト・ルビッチが道を開いた歴史大作の分野では、リヒャルト・オズワルド監督の骨肉争うスペイン宮廷を描く「ドン・カルロスとエリザベート」(1924)が作られている。

 この年「最後の人」(1924)を監督したF・W・ムルナウは、「大公の財政」(1924)も監督している。

 1923年に映画監督デビューを果たしたG・W・パプストは、手際よく撮られた娯楽作「ドネリ伯爵夫人」(1924)を監督している。パプストはこの作品で、名カメラマンのグイド・ゼーバーと出会う。以後2人は組んで見事な映像を作り上げていくことになる。

 この頃のドイツ映画界は、第一次大戦後の混乱期を経て、表現主義の台頭、様々な優れた監督たちに登場などにより、黄金期を迎えていた。ジョルジュ・サドゥールは「世界映画全史」でこの頃のドイツ映画界について、次のように書いている。

 「1920年から1925年の間にドイツ映画は深く民族的となり、顛倒した国の動揺を、ゆがんだ巨大な鏡の中に映していた。それは脚本家、監督、舞台装置家、俳優、撮影者ら卓越したチームによって支えられた。それは前進の極点まで進んだ。その重要性は、非常に大きなものであった」

無声映画芸術の成熟―第1次大戦後のヨーロッパ映画〈1〉1919‐1929 (世界映画全史)

無声映画芸術の成熟―第1次大戦後のヨーロッパ映画〈1〉1919‐1929 (世界映画全史)