スウェーデン ガルボとスティルレル 「イエスタ・ベルリングの伝説」

 スウェーデンではモーリッツ・スティルレル監督の「イエスタ・ベルリングの伝説」(1924)が作られている。

 スウェーデンの作家セルマ・ラーゲルレーフの処女作で、国民的文学になっていた叙事詩的小説が原作。主人公の恋と没落を描いている。ラーゲルレーフの作品はギュスターフ・モランデル監督「イェルサレム」二部作(1925−1926)という映画化作品もある。だが、「イエスタ・ベルリングの伝説」は何よりも、グレタ・ガルボ出演作として知られる作品である。

 当時ガルボは、グレタ・グスタフソンという名前で活動しており、デパートの帽子売り場から1921年に劇場用CMや劇映画の端役として活躍していた。そんなある時、「イエスタ・ベルリングの伝説」の女優を探していた監督のモーリッツ・スティルレルに、ガルボが通っていた俳王立劇場の校長が推薦したことから出演することになったのだという。

 ガルボはスティルレルから、多くのことを学んだと言われている。演技だけではなく、容姿、服装、しゃべり方、立居振舞いなどを、スティルレルはガルボを自分の理想的なイメージに変えさせた。グレタ・グスタフソンという名前を、「ガルボ」と名づけたのもスティルレルだという。別の作品で使おうとしていた「ガボール」という名前を変えて出来たもので、「森の妖精」の意味もあるのだという。さらに、新聞記者嫌いや、完全主義、部外者をセットに入れないなどの後のガルボの特徴は、スティルレルから受け継いだのではないかという指摘もある。