映画評「BARBARA FRIETCHIE」

※ネタバレが含まれている場合があります

[製作国]アメリカ [製作]リーガル・ピクチャーズ [配給]PDC

[監督・脚本]ランバートヒルヤー [原作]クライド・フィッチ [脚本]アグネス・クリスティン・ジョンストン [撮影]ヘンリー・シャープ

[出演]フローレンス・ヴィドア、エドマンド・ロウ、エメット・キング、ジョゼフ・ベネット、チャールズ・デラニ

 舞台はメリーランド州フレデリック。南部人として生きるフリッチー家の娘バーバラは、ウィリアムと愛し合っていた。だが、南北戦争が勃発。北軍の将校として従軍するウィリアムとバーバラは、泣く泣く別れることになる。だが、思いを断てない2人は、戦争中だが結婚することを決意する。

 南北戦争の勃発によって、恋人など親しい者が敵味方に分かれてしまうという設定は、「國民の創生」(1915)を始めとして多くのアメリカ映画で取り上げられている。この作品が、他の同様の作品と異なる点は、町が戦場となるために、ヒロインも戦争に巻き込まれる点だろう。

 ヒロインのバーバラは、愛するウィリアムを守るために、自らウィリアムを狙う狙撃兵を撃つ。さらには、バーバラのウィリアムへの愛に対する嫉妬から、軍隊に従軍してウィリアムの命を狙う男に対しては、自らの身を呈してウィリアムを守る。決して、恐怖から気絶することなく、自らの行動で愛を守る女性として描かれている点が、この作品の最大の特徴だ。

 戦闘シーンなど、それなりに製作費がかかっているように感じられるものの、ストーリーを追うことに終始した平板な演出、ご都合主義的な後半の展開、説教臭いラストなど、テーマは活かされているとは思えない。だが、南北戦争を描いた大作としては、ヒロイン自らが行動する作品として覚えておいてもよいかもしれない。