映画評「PICKING PEACHES」
※ネタバレが含まれている場合があります
[製作国]アメリカ [製作]マック・セネット・コメディーズ [配給]パテ・エクスチェンジ
[監督]アール・C・ケントン [製作]マック・セネット [撮影]ジョージ・スピア
[出演]ハリー・ラングドン、アルバータ・ヴォーン、ドット・ファーレイ、キューピー・モーガン、ヴァーノン・デント
靴屋の店員ハリーは、妻に内緒で女性客とデート。だが、それを見つけた妻は、夫を懲らしめるために、顔を隠して水着コンテストに出場する。一方ハリーは、デートをしていた女性客の夫にバレて追いかけられる。
1920年代を代表するコメディアンの1人であるハリー・ラングドンの映画初出演作にして初主演作。スラップスティック・コメディの父と言われるマック・セネットが製作を担当しており、ハリーがこの後に人気を得ていく子供のようなキャラクターではなく、セネット映画伝統の女好きな嫌なヤツを演じている。まだまだ試行錯誤しているのが伝わってくる。
超童顔のラングドンが、女好きを演じているのは、ただそれだけで何だか奇妙な面白さを持つ。何だか応援してあげたくなるような気持ちになるのは、ラングドンがあまり暴力に訴えないからだろうか?いや、結構ラングドンの方からも手を上げていることを考えると、やはりその容姿のせいだろう。
ちょっと話が複雑過ぎる気もするし、ストーリー全体としてはセネット映画のルーティンを外れていない物足りなさはあるものの、ダイブする女性が空中で2回転するのをアニメーションで見せるシュールなギャグあり、ハシゴもろとも窓から落ちそうになるスリルありと、演出は凝っている。
面白い作品ではないかもしれない。だが、嫌なやつなのに、奇妙な面白さを併せ持った独特の感じはラングドンならではだろう。
【関連記事】
ハリー・ラングドン セネットが見つけた最後の大喜劇俳優