映画評「WILD ORANGES」

※ネタバレが含まれている場合があります

[製作国]アメリカ [製作]ゴールドウィン・ピクチャーズ・コーポレーション [配給]ゴールドウィンコスモポリタン・ディストリビューティング・コーポレーション

[監督・脚本]キング・ヴィダー [原作]ジョセフ・ハーゲシーマー [撮影]ジョン・W・ボイル [美術]セドリック・ギボンズ [衣装]ソフィー・ワクナー

[出演]フランク・メイヨ、ヴァージニア・ヴァリ、フォード・スターリング、ナイジェル・ド・ブルリエ

 結婚してすぐに花嫁を失ったジョンは、傷心から相棒のポールとともにヨットで旅を続けている。ある時たどり着いた南海の孤島で美しい娘ミリーと出会うが、ミリーは一緒の島に住む暴力的なニコラスに怯えていた。島を離れたポールだが、ミリーのことが忘れられずに再び島へと戻る。

 1910年代にコメディアンとして活躍し、マック・セネットのキーストン社ではキーストン・コップの一員としても知られているフォード・スターリングが、コメディ・リリーフとして登場している。

 ナイジェル・ド・ブルリエ演じるミリーの父のこの世に絶望しきったような姿といい、ヴァージニア・ヴァリ演じるミリーの常に怯えて震えているかのような姿といい、ホラー映画のような雰囲気を持った映画である。だが、映画が進むにつれて、妻を失った男と、隔離された島での生活を強いられる女とのラブ・ロマンスに収斂していく。

 よどみなくストーリーは展開され、後半にはすさまじい格闘シーンも用意されているものの、ステレオ・タイプなキャラクターに、よくあるストーリーの作品に感じられてしまった。