ゴールドウィンとロナルド・コールマン

 ゴールドウィンは、自分が見出した俳優を大事にしたと言われている。ロナルド・コールマンはその1人であり、コールマンは10年以上にわたってゴールドウィンの契約俳優として活躍した。この年はゴールドウィンが製作した「ステラ・ダラス」「ダーク・エンゼル」(1925)などに出演している。

 「ステラ・ダラス」は、劇化されたこともあるオリーヴ・ヒギンス・プラウティ夫人の小説の映画化で、ヘンリー・キングが監督をした母性愛映画の古典である。ベル・ベネット演じる無知な母親が、自分のせいでロイス・モラン演じる娘が幸せになれないと知り、ロナルド・コールマン演じる夫と離婚して落ちぶれ、結婚する娘の喜びを窓越しにそっと見つめるという作品である。メロドラマ的だが、人間を深く描いていたと言われる。一方で、母親の愛情を描いた作品ということもあり、コールマンの存在感は薄かった。

 「ダーク・エンゼル」は、コールマンの人気を不動にした作品である。共演のヴィルマ・バンキーとのコンビは1920年代最高のカップルと絶賛された。舞台劇をベースにしたメロドラマで、フランス戦線に出動し、盲目となった大尉が恋人の幸福のために姿を消すというものである。イギリス紳士らしいコールマンのひたむきな演技が高く評価され、コールマンはスタイルを確立したと言われる。