「ビッグ・パレード」 サルバーグの隠れた功績

 MGMによる大作戦争映画「ビッグ・パレード」(1925)の製作は、クレジットされていないがアーヴィング・サルバーグである。サルバーグはエーリッヒ・フォン・シュトハイム監督の「グリード」(1924)を短縮させたことで有名だ。この短縮は批評家から非難を浴びたが、サルバーグの成功の理由は、監督の芸術的な要求と、配給サイドの現実的な要求とのあいだで巧みにバランスを取る、調整能力にあったという。「ビッグ・パレード」(1925)はその成功例であり、金をかける必要があるとして当初の2倍以上の予算をつぎ込み、ヒットさせたのだった。

 ちなみに、「ビッグ・パレード」(1925)は戦争を正面から取り上げた最初の映画とも言われる。この後も「栄光」(1926)、「つばさ」(1930)といった戦争映画が作られ、戦争映画はハリウッド映画の主要なジャンルとなっていく。その点でも、サルバーグの視点は確かだったとも言われる。また、戦争の現実も盛り込まれているが、感傷とスペクタクル性によって観客が受けいれられやすくする工夫もされている。