ルドルフ・ヴァレンティノ 求められるイメージとの戦い

 イメージと異なる役柄を演じたいという自身の欲求をかなえてコメディ演技を見せた「ボーケール」(1924)に出演したが、観客にそっぽを向かれたルドルフ・ヴァレンティノは、観客が求めるイメージどおりの役を演じていた。

 独立製作者のために「毒蛇(コブラ)」(1925)に出演した後、パラマウントからユナイテッド・アーティスツに移籍している。年収52万ドルと利益の40%の高給を得るも、イメージどおりの役を演じることになった。ハンガリーから招かれたヴィルマ・バンキー共演の「荒鷲」(1925)では、ロシアのロビン・フッドのような役柄を演じたという。

 ちなみに、この頃のヴァレンティノは、頭髪が抜け始めていたが、毛染め薬で観客には気づかれないように誤魔化していたといわれる。