秘境ものの見世物的価値 クーパーとシュードサック

 メリアン・C・クーパーとアーネスト・ショードサックは、1919年に出会い、1922年にカリフォルニアの博物館の依頼で中東・エチオピアを2人で探検した人物である。元々探検家だった2人は、「極北の怪異」(1922)のヒットを聞いて秘境冒険映画の製作を思い立ったのだという。

 「地上」(1925)は、クーパーとショードサックともう1人の女性が、イランの遊牧民の山越えに同行して撮影した作品である。1万ドルの予算だったが、フィルムが足りなくなったため、後半はほぼ遊牧民のロングショットと俯瞰で撮影された。遊牧民は干魃のために移動していると描かれたが、実際は定例の移動だったという。この作品は、フェイマス・プレイヤーズが配給を引き受け、まずまずのヒットを飛ばした。当時は秘境の光景が見世物的価値を持っており、クーパーとショードサックはそれに合った作品を作り上げたと言えるだろう。