西部劇スター ハートの凋落とトム・ミックスの人気

 1910年代から1920年代にかけて西部劇スターとして活躍していたウィリアム・S・ハートは、この頃になると人気も落ちていた。そんなハートが主演した作品が「嚝原の志士」(1925)である。ユナイテッド・アーティスツが配給したが、失敗に終わった。ハートは引退し、牧場を経営していくことを決意する。ハートの牧場は1946年のハートの死後、公園となっている。

 ハートに代わって西部劇スターとして人気を得ていたトム・ミックスは、1925年には週給1万7千ドルになっていたという。ミックスの西部劇は、軽快で明るい娯楽作で、格闘や追跡シーン、危機からの脱出シーンでスタント芸を売り物にしていたという。子供の様に冒険好きなミックスの性格が反映されており、ダグラス・フェアバンクスに近いタイプだった。アメリカ以外の多くの国でも人気を呼んだが、トーキーが主流になると人気が落ちることになる。