開拓ドラマとジェームズ・クルーズ

 ジェームズ・クルーズの「幌馬車」(1923)以降、多くの開拓ドラマが作られた。この年には、ウィリアム・K・ハワード監督「轟く天地」(1925)、ジョージ・B・サイツ監督「滅び行く民族」(1925)や、ジェームズ・クルーズ監督自身による「駅馬車」(1925)が作られている。

 「滅び行く民族」は、ネイティブ・アメリカンが現代の白人社会で生きることの難しさを描いた作品である。

 ポニー・エクスプレスを扱った西部劇「駅馬車」は、「幌馬車」の成功の再現を狙ったが、冗長な作品だったとも言われる。主演のリカルド・コルテス、ベティ・カンプソンよりも、アーネスト・トレンスとウォーレス・ビアリーのコメディ・リリーフ演技の方が光っていたという。

 クルーズは他にも、田園の人情をじっくり描く「ふるさとの家」(1925)や、フランスのアヴァンギャルドの影響を受けた幻想的作品である「馬上の乞食」(1925)を監督している。