「曲馬団のサリー」「竜巻」 続くD・W・グリフィスの苦難

 D・W・グリフィスはかつての栄光を失った中でも、映画製作を続けていた。コメディの混じったメロドラマである「曲馬団のサリー」(1925)は、W・C・フィールズが初めて大役を演じた作品だったが、出来は今ひとつだったという。この作品は、自らが設立に参加したユナイテッド・アーティスツとの最後の契約作品となった。

 またグリフィスは、再びW・C・フィールズが出演したスペクタクルなメロドラマ「竜巻」(1925)も監督したが、こちらも失敗に終わったという。リリアン・ギッシュの自伝によると、グリフィスは「竜巻」を自分の意見を無視して作られた映画と語り、リリアンにラッシュも見せようとしなかったという。

 当時グリフィスは、週6千ドルと収益の何パーセントをもらい、独立プロ時代の借金の返済に充てていたという。経済的に苦しく、カメラマンのヘンドリック・サートフの1万ドルの給料も後払いにしていたと言われる。

リリアン・ギッシュ自伝―映画とグリフィスと私 (リュミエール叢書)

リリアン・ギッシュ自伝―映画とグリフィスと私 (リュミエール叢書)