ドイツ E・A・デュポンの「ヴァリエテ」と街路の映画
E・A・デュポンは、「ヴァリエテ」(1925)を監督している。デュポンは映画批評家から脚本家として映画界に入り、やがて監督になった人物である。娯楽映画を得意とし、商業作品のベテランとして知られていた。
「ヴァリエテ」のストーリーは、通俗的な三角関係を扱った愛欲ドラマである。屋外シーンはすべて実景で撮影され、空中ぶらんこのシーンでは、ぶらんこにカメラを乗せるという方法で注目を集めた。撮影は「最後の人」(1924)のカール・フロイントである。
岡田晋は、「ドイツ映画史」の中で「ヴァリエテ」を次のように評価している。「表現主義と室内劇の諸要素が、表現主義・室内劇のワクから解放され、現実を舞台とする演出技法として集大成された」
「ヴァリエテ」は当時ドイツで作られていた、街の世界をリアリズムで描く「街路の映画」と言われるジャンルに属するとも言われる。このジャンルでは他にも、前科者が下層から這い上がるという内容の、ゲルハルト・ランプレヒト監督「第五階級」(1925)が作られている。
「ヴァリエテ」が評価された監督のデュポンだったが、以後は優れた作品を送り出すことができずにキャリアを終えることになる。
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