ドイツ トーキーへの道

 ドイツでは、トーキーの研究も行われていた。トリ=エルゴン方式を開発した3人のうちの1人であるヨーゼフ・マゾレは、ウーファ発声映画部の技術監督になっている。マゾレに指導のもと、トリ=エルゴン方式によるウーファ初のトーキー「マッチ売りの少女」(監督グイド・バギーア)が12月に試写されたが、失敗に終わったという。

 ヨーロッパでは3,000にのぼる個別のトーキーに関する特許と、15種類の発声映画方式が競合していた。そんな中、1925年にドイツ発声映画社がフェーブス社とトーキー製作のための独占協定を結んだという。ちなみに、ドイツ発声映画社は、ドイツ語圏用にデンマークの特許使用権も獲得していた。一方でオランダでは、キュッヒェンマイスター・コンツェルンが形成され、独自の光学録音方式で映画製作が行われていたという。