スペイン映画 1925年

 スペイン映画草創期から活躍していたフランクトゥオッソ・ヘラベルトは、サルバトール・フィルムスで「マドリードの奥底で」(1925)を監督している。

 1920年代のスペインでは、文芸作品の映画化が盛んに行われたと言われている。小説家のアレハンドロ・ペレス・ルヒンも、自作を映画化している。ルヒンは、コメディのスターだったペドロ・エルビーロとフアン・デ・オルドゥーニャに加えてスター女優のカルメン・ビアンセが出演した「トロヤの家」(1925)、闘牛を題材とした「クリート・デ・ラ・クルス」(1925)を監督している。自然主義の小説家コロマ神父原作の「ボーイ」(1925)はベニート・ペロホ監督作品で、後に監督となるフアン・デ・オルドゥーニャが出演している。

 元々は古典演劇の二枚目の意味であるガラン役者と言われた俳優の中では、上に挙げたフアン・デ・オルドゥーニャのほかにも、「ラサリーリョ・デ・トルメス」(1925)に出演したホセ・ニエトが活躍した。「ラサリーリョ・デ・トルメス」(1925)には、コメディのスターのアルフレド・ウルタドやスター女優のカルメン・ビアンセも出演している。