デンマーク カール・ドライヤーの喜劇「あるじ」

 デンマークでは、カール・ドライヤーが戯曲を元にした「あるじ」(1925)を監督している。パラディウム社に移籍して監督した喜劇である。妻に家を出られた夫が、妻の大事さを知り、戻ってきた妻に愛と尊敬を誓うという内容で、テンポは遅いが、重苦しさ家の中の空気がリアリティに溢れているという。本物の慎ましいアパートで撮影しようとしたが難しく、スタジオ内にアパートをコピーしたセットを作成した。極度のメイク・アップが演技を台無しにしたという意見もあり、以後ドライヤーはメイク・アップを抑えるようになったという。