映画評「ドンQ」
※ネタバレが含まれている場合があります
[製作国]アメリカ [原題]DON Q SON OF ZORRO [製作]エルトン・ピクチャーズ [配給]ユナイテッド・アーティスツ
[監督]ドナルド・クリスプ [原作]ヘスケス・プリチャード、ケイト・プリチャード [脚本]ジャック・カニンガム [撮影]ヘンリー・シャープ
[出演]ダグラス・フェアバンクス、メアリー・アスター、ドナルド・クリスプ、ステラ・デ・ランティ、ワーナー・オーランド、ジーン・ハーショルト、アルバート・マックォーリー
ゾロの息子であるセザールは、カリフォルニアからスペインへと留学していた。スペインでデ・ムーロ将軍の娘ドロレスに恋をするが、恋敵のセバスチャンの罠で殺人罪を着せられ、姿を消す。
1920年に公開された「奇傑ゾロ」の続編の作品である。といっても、主人公はゾロではなく、息子のセザールとなっている。だが、「奇傑ゾロ」に目配せした部分が非常に多い。
たとえば、カリフォルニアにいたゾロは、息子のピンチを知ってスペインへと旅立つ。そのとき、壁に突き刺さったサーベルを抜く。このサーベルは、「奇傑ゾロ」で最後の戦いを終えた後で、「今度使うときが来るまで」といって壁に刺したものだった。ご親切にも、「奇傑ゾロ」のそのシーンを編集して見せてくれる。
デ・ムーロ将軍がゾロの親友だったり、ゾロが得意としたハンカチの中から物を取り出すマジックをセザールが見せたりと、他にも「奇傑ゾロ」に目配せした部分は多くある。
今では、続編は当たり前すぎる存在であるし、最初から続編を企図して作られるのも当たり前となっている。だが、「ドンQ」が作られた当時は、短編を数週間に分けて上映される連続映画のようなジャンルはあったが、長篇の続編は特別なことだった。
フェアバンクスは、主人公の息子を演じることで、二番煎じではなく、それでいて「奇傑ゾロ」のファンの気持ちもくすぐるという抜け目のないやり方を「ドンQ」で見せてくれる。