映画評「ロスト・ワールド」

ロスト・ワールド 2in1 [DVD]

※ネタバレが含まれている場合があります

[製作国]アメリカ  [原題]THE LOST WORLD [製作・配給]ファースト・ナショナル・ピクチャーズ

[監督]ハリー・O・ホイト  [原作]コナン・ドイル  [脚本]マリオン・フェアファックス  [撮影]アーサー・エディソン  [編集]ジョージ・マグワイア  [特殊効果]ウィリス・H・オブライエン

[出演]ベッシー・ラヴ、ルイス・ストーン、ウォーレス・ビアリー、ロイド・ヒューズ、アルマ・ベネット、アーサー・ホイト

 チャレンジャー教授は、ある場所に恐竜が生きていることを主張している。新聞記者のマローンや、恐竜が生息する場所で行方不明になった父親を探すポーラらと共に、探検に出発する。その先で、彼らは恐竜たちに遭遇する。

 ストップ・モーション・アニメーションを本格的に使用した最初期の作品とて有名である。この世に存在しないものを表現するものとして、ストップ・モーション・アニメは(手書きのアニメもだが)有効な方法であり、動きもあり、誰もが知っており、人々の関心も引きやすい恐竜が題材であることは当然といってもいいかもしれない。

 迫力やリアリティの面では、スティーブン・スピルバーグの「ジュラシック・パーク」(1993)や「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」(1997)のような作品とは比べ物にならない。その代わりに、「ロスト・ワールド」にあるのは、ウィリス・H・オブライエンによる手作り感溢れる恐竜たちの造形だ。リアリティではない、作り物としての魅力がそこにはある。

 直接的に恐竜が人間を襲うシーンは、「ロスト・ワールド」にはない。その代わりに、ベッシー・ラヴ演じる若い女性が恐竜たちの様子に怯えるクロース・アップがところどころに挿入されている。限られた技術の中で、人々に恐怖感を伝えようという努力が垣間見えるが、少し滑稽にも感じられた。

 ストーリーが後の「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」と似ている。恐竜の住む土地にやって来る人間たち、彼等は恐竜に襲われて窮地に陥る。最後には、恐竜が都会へとやって来る。巨大な自然に対する人間の小ささを、恐竜の大きさと人間の小ささという形に変換し、最後には自然と文明のギャップ(巨大な自然の前に、文明はあまりにも小さい)も描き出すという展開の原型は、この映画に、ひいてはコナン・ドイルの原作にあるのだろう。

 ちなみに、私が見たバージョンは約50分のもので、オリジナルではない。完全版は消失しているが、約90分のバージョンは存在しているという。確かに、私が見たバージョンでは人間ドラマの部分、特にマローンとポーラの恋愛が中途半端すぎるように感じられた。

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