映画評「失恋競争」

※ネタバレが含まれている場合があります

[製作国]アメリカ  [原題]THE PLASTIC AGE  [製作]B・P・シュールバーグ・プロダクションズ  [配給]アル・リクトマン、プリファード・ピクチャーズ・コーポレーション

[監督]ウェズリー・ラッグルス  [製作]B・P・シュールバーグ  [原作]パーシー・マークス  [脚本]フレデリカ・サガー、イヴ・アンセル  [撮影]アレン・G・シーグラー、ギルバート・ウォレントン

[出演]ドナルド・キース、クララ・ボウ、メアリー・アルデン、ヘンリー・B・ウォルソール、ギルバート・ローランド

 大学に入学したヒューは、アスリートとして活躍することを期待されていた。だが、シンシアという女性と出会ったヒューは、彼女の魅力に溺れてしまい、スポーツで結果を出せない。それを知ったシンシアは、ギルバートに別れを切り出す。

 主役はドナルド・キース演じるヒューである。どこか、「ローレル&ハーディ」のスタン・ローレルを思わせるキースは一見ひ弱そうだ。そんなヒューと恋に落ちるのが、クララ・ボウ演じるシンシアだ。パーティ好きで男好きのシンシアだが、いわゆるファム・ファタルではなく、ヒューとは自然に恋に落ちる。自分の生きたいように生きるシンシアが、その通りに行動した結果がヒューとの恋愛だったのだ。

 「FREE TO LOVE」(1925)で見せたような貞淑さを求められる役柄よりも、自由に生きるシンシアの方がボウに合っている。ヒューの卒業式で、ヒューとの再会を期待してやって来たシンシアが、どうしていいか分からず戸惑ったり、ヒューが自分を愛している事を知り喜んだりする姿は非常にチャーミング。そして、ベンチから転げ落ちながら、何回も何回もキスをするヒューとシンシアの姿も微笑ましかった。

 「失恋競争」を見ると、クララ・ボウの魅力が、自分の生きたいように生きる快活さにあることが分かる。性に奔放であることや、パーティが大好きだったりすることは結果であって、ボウの魅力は「自分の生きたいように生きる」女性像の時に活きてくる。