映画評「FIGHTING FLUID」

[製作国]アメリカ  [製作]ハル・ローチ・ステゥディオズ  [配給]パテ・エクスチェンジ
[監督]レオ・マッケリー  [製作]ハル・ローチ  [撮影]レン・パワーズ

[出演]チャーリー・チェイス、ピエール・クウデルク、ジュールス・メンデル、マリー・モスキニ、エド・ポーター

 女性ばかりの職場で肩身の狭いジミー。社長の娘に恋するジミーだが、恋敵に取られそう。だが、水と思って飲んだのが酒だったジミーは、酔っ払った勢いで社長の娘を奪いに行く。チャーリー・チェイスがジミー・ジャンプの役名で主演したコメディ・シリーズの1つ。

 当時大量生産された短編コメディの1つだが、設定と演出で見せる作品だ。女性ばかりの職場という設定は、小さな部屋に大量の女性たちがいるという画作りになっているし、ジミーのキャラクターを際立たせる要素も伴っている。また、呼び鈴を押した瞬間に、ドアを開けて上半身だけ突き出す執事のタイミングは見事だ。

 最も演出を感じるのは、マネキンの足が落ちるシーンだ。男性2人が両腕を肩にかけて運んでいる女性のマネキンを、ケガをした社長の娘と思ったジミーは、後ろをついていく。すると、ブラブラと揺れるマネキンの足が、外れて地面に落ちてしまい、ジミーは驚愕する。前後も含めた楽しさもあるのだが、このシーン単体でもブラブラと揺れる足といい、地面に落ちるまでの間といい、演出の妙を感じる。

 チェイスの作品は、徐々にアイデアと演出に支えられていく。その証明の1つといえる作品だ。